デッサン日記
8月12日(木) 飯豊(三)・・・あの世とこの世が出会う場所 飯豊から帰ってもう一週間がたった。 病院の定期検診に行ったり、お寺へお盆のお参りにいったり、また今日は実家のペンキ塗りをしてきた。 あの世とこの世、私たちがこの世(現世)に生存している時間は、宇宙の生成の観点から見ると、ほんの一瞬でしょう。私の死んだ父にしても、おばあちゃんにしても、私より少し早く、ずれて現世での生を閉じたにすぎない。そしてあの世に戻るのか・・・・・。 私があるこの現世こそユートピアなのかもしれない。 あの世(黄泉の国)は時間の感覚があるのだろうか・・・・・・。もの言わぬ大地のように、静かに延々と眠りにつくのであろうか。 いろんなところを旅したり見てくると、時々現世でありながら、あの世を感じさせる光景に出会うことがある。 霊場(恐山とか)のように人間が物々しく作り上げた場所でなく、静かな自然のなかに、ふとそのような場所を感じるところがあります。 この世とあの世が出会う場所・・・、白山の六道の辻などもそのような場所らしい。 津軽の小泊から竜飛まで踏破したときもそのような場所に出会った。 今回の飯豊縦走でも、そんな場所があった。このデッサンに描いた二つ峰あたりは飯豊の稜線を越えて山深く入らないと見えない場所です。里からは絶対に見えない場所です。 上に描いた線描が強すぎてあまり山の形状がよく見えませんが、独特の雰囲気のある光景でした。 山に登って久しぶりにそんな気持ちを持たせてくれた山でした、飯豊は・・・・・。 |
8月3日(火) 飯豊(二)・・・大日岳 先ごろ、熊野古道や大峰の修験道が世界遺産に登録されたようですが、あの修験道や修行者は神仏混合というか、密教のイメージもします。去年国東半島で訪ねた両子寺なども密教の寺ではあるがお寺の説明では神仏混合であるらしい。 仏教でも山岳地帯にまで踏み入ったのが密教で、出羽三山の山伏や高野山、比叡山などの荒行が有名である。 しかし、日本の名だたる山や山岳信仰はやはり神道である。各山の頂上にはたいてい祠がある 白山などは立派な神社があり、神主さんもいる。 飯豊の山も主要な山頂には祠があり、飯豊本山神社などには神主もいて、お守りやおみくじまで売っていた。 この大日岳、早朝4時に切合小屋を出発して、しばらく登った小高い場所でMOGUさんがスケッチブックを取り出してスケッチを始めた場所から見たデッサンです。MOGUさんとはここからの大日岳を彩色して描く約束をした。 この大日岳の日の出時の左上空に月がある図を見ていて、思い当たったのであるが、日の出時には飯豊山神社(飯豊本山小屋)から大日岳を見ると月は大日岳の真上にあるのではないだろうか。飯豊神社から見ると、太陽と月と大日岳と飯豊本山が一直線に並ぶのではなかろうか。 大日岳という名もこのへんからついたのではないでしょうか。仏教でも大日如来など大日と名のつく仏は曼荼羅などでも宇宙の中心である。 夏の登山者が多い時でもこの大日岳を見ると、なぜか宇宙の神聖なる空間に身をおくことができる。 |
8月2日(月) 飯豊(一)・・・汗 中央高速、長野自動車道、新潟から磐越自動車道を通って飯豊連峰の麓の街、米沢へ。宿のMさん宅でミニオフ会。バーベキューの準備をするYさんの顔に以前見た笑顔がない。 夏風邪で前日までは高熱が残っていたという。 まさかここに来ていて、準備しているとは思わなかった。 今日調子が良くなったので明日は登るという。 縦走してみて判ったが、あの飯豊は半端な山ではない。帰り際、Mさんたちと問答していた。Mさんはストップをかけたらしい。 私ならやめていたでしょう。でもYさんには一緒に登ってほしかった。もう一人のMさんにもYさんが一日目だけでも一緒に登ってもらうように言ってもらった。 翌朝、笑顔や余裕はないが、Yさんは山の格好をしてきた。 稜線までの長い登り、時々私の後ろを歩くYさんの顔を覗く。額には玉の汗。顔色は悪くない(このデッサンは少し病的になってしまいましたが)。 初日、大日杉小屋から地蔵岳経由で飯豊の稜線に出た。予定では飯豊の頂上小屋までであったが、暑さと長い登りの為、バテ気味の遠征組を見て、リーダーのMさんが切合小屋泊とした。 運動や仕事で汗を流すことはとても良いことらしい。汗と共に身体の中の毒素が一緒に出される。風邪が治るときなどは、布団の中で大汗をかく。炎天下の山では大量に汗がでる。その分、水分も補給しなければならないが。 今回は夕食では水分はアルコールが入ったものが多かった。最終日の下りでは前夜の飲みすぎも手伝って、ゴール寸前でバテぎみでした。 他人の健康を心配するほどの余裕もありませんでしたが、Yさんは日に日に元気で笑顔も盛り返した。やはり山女だ。山で汗をかけば本調子を取り戻す。Mさんなどは誰が一番はやくバテるか楽しみで、写真を撮りたいなどと言っていた。私は一歩手前であったが、バテて伸びた写真を撮られなくて良かった。実際最終日の丸森尾根ではバテて伸びて、地面に仰向けに横たわっていたオジサンに出会った。汗をかけばとよいといっても酒はほどほどにしなければ、底なし飲兵衛さんのペースに付き合うと身体を壊してしまいます。 |