大雪山(五)

7月10日、ラジオの天気予報で言っていた通り、朝から濃霧と雨だ。視界が悪い、どこやらの山の会だと山登りは中止になる日和だ。4時ごろからテント場の他のテントは出発の準備にあわただしい。テント場も昨夜は満杯であったようだ。テントから顔を出して、どこへ行くか聞いてみると、トムラウシからトムラウシ温泉へ向かうという10人ぐらいのパーティー。その他にも出発の準備をしている。
昼食用のラーメンとコンロ、水、お茶をサブザックに入れて私も出発することにした。

予定はトムラウシ山往復。雪渓を左に巻いてトムラウシへの登山道へ出る。視界が悪いが、身が軽いので、荷を持っている人たちを次々と抜く。ロックガーデンあたりから横殴りの雨と強風が吹きだす。3時間ほどで頂上へ、記念撮影してすぐ降りる。帰りには風速30mはあろうかという風雨である。食事する場所も無いので急いでテントまで戻る。テントが飛ばされていないか心配であったが、どうやら大丈夫のようである。
その日は朝まで強風雨が強く浸水も心配であったが、とにかく次の日、長丁場の天人峡を降りるので休むことにした。

ヒサゴ沼に入り込む雪渓が綺麗だ

日本庭園のあたり

ロックガーデン入り口

北沼

トムラウシ山は遠景でさんざん見えたので、

トムラウシ山頂上風が強く帽子が飛びそうであった。
7月11日、ずぶ濡れのテントの撤収などで時間が掛かり、7時頃の出発になった。
長い雪渓を軽アイゼンを付け登り、化雲岳へ出る。バスの最終便(16:30)に間に合うよう、ひたすら歩くが荷が重く同じ方向の人たちから取り残される。小化雲岳などちょっとした登りがきつい。ぬかるんで川のような登山路を靴までずぶ濡れで歩く、歩けども歩けども、肩も痛くなかなか進まない。最後の天人峡へのジグザグ下りは走った。走らないと間に合わない。バスがドアを開けて待っていた。工事の人たちも私が走る姿をみて「ガンバレ」と声を掛けてくれた。間一髪間に合いました(本当の話)。旭岳のバス停で缶ビールを買い、ドロドロの雨具を脱ぎ、帰りのバスの中でビールを飲み干した。


化雲岳頂上

チシマギキョウ

エゾゼンティカ

エゾウサギソウ

第一公園から旭岳の麓が見え出す。

湿地の向こうにミズバショウがみえる(白いもの
まだまだ道はいやと言うほど続く、
天人峡の崖g見え出す

ツバメオモト

マイズルソウ

ズダヤクシュ

???

ギンリョウソウ

???


天人峡・羽衣の滝


 後日談で恐縮ですが、大雪山から帰り一ヶ月程して持病の狭心症の発作が起こり、緊急入院しました。
心臓に三本ある大動脈の一本が完全に狭窄して心筋梗塞を起こしていました。
心筋梗塞を起こした動脈は完全に梗塞しても即死ぬという場所ではありませんでしたが、一ヶ月程前の大雪山縦走ではかなり狭窄が進行していたということです。
荷物の重さからくる苦しさだけではなかったようです。
運動もしているし、食事も気をつけているので大丈夫だと思っていましたが、やはり薬は飲み続けないとだめなようです。薬を飲むのを二、三年やめていたのです。
おかげ様で心臓の機能が15%」ほど壊死してしまいましたがリハビリやその後も運動をして何とかまたゆっくりですが、山登りをできるようになりました。



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